【DX事例紹介】位置情報の管理システムで現場作業員の業務効率化を図る!
各地の現場で作業を行う作業員の動態は、現場作業の進捗や稼働状況など、外部要因と現場の裁量に任されている部分が多いため、事務所で業務を行う管理者には把握しづらいという課題があります。現場作業員の動態が不明確のままだと、状況確認や指示などに余計なプロセスが生じるため、業務効率も落ちてしまう可能性が高くなります。
現場作業員のリアルタイムな動態・位置情報を把握することで、稼働最適化や事故防止などを含め、業務の効率化につなげることが可能となります。そこで今回の記事では、現場作業員の動態を管理すべき理由から、作業員の位置情報を管理する方法まで、詳しく解説します。
「現場作業員の位置情報をどうやって管理すればいいの?」「位置情報管理にはどんなサービスがあるの?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.現場作業員はどう管理されている?
当日のスケジュールによって作業する現場が異なる現場作業員。現場までのルートや作業の進捗などは現場次第であり、管理者からは把握しにくいケースが多くあります。そんな現場作業員の動態を管理するには大きく分けて2つの方法があります。
1.1タイムカードや勤怠システム
勤怠管理の基本となるツールが「タイムカード」や「勤怠システム」です。現場作業員の勤怠から休憩・退勤までの時間管理はもちろん、勤務日数や残業時間まで詳細に記録することができます。
当日、急な体調不良などで早退したなどのイレギュラーな勤怠でも、しっかりデータを残すことができるため、多くの企業で採用されている方法のひとつです。ビジネス用ツールでありながら、無料で利用できるアプリも多く、気軽に導入することができます。
日次・週次・月次で管理することが出来、その場に出勤していたということが管理できる一方で、その日の今の現場作業員の稼働状態など、リアルタイムな管理には不向きのため、後述の現場管理者による管理と併用するのが一般的です。タイムカードや勤怠システムの機能性は、提供する企業によって異なるため、自社の目的に応じたサービス選びが重要となります。
1.2現場管理者
現場には作業員の動向を管轄する現場管理者が常駐しています。現場管理者が作業の段取りなどを管理し、作業員に指示を出しながら作業を進めるのが基本です。
現場における進捗や状況などは現場管理者を通じて、事務所に報告されます。ただし、現場管理者からの報告がくるまで、事務所側は作業員の動態を把握することはできません。
また、現場管理者が常に作業員全員の動態を把握できているとも限らないため、状況管理や安全性の面では課題が残ります。ましてやそれが広い屋外での作業であったり、遮蔽物などが多数存在して複数の階に分かれているビル建設の現場であったりすると管理は次第に複雑かつ目が行き届きにくくなるのが実態です。
2.なぜ現場作業員の動態を把握すべきか
現場作業員の動態を把握すべき理由はいくつかあります。
ひとつは業務全体の効率化が目的です。例えば、現場作業終了後には報告書が必要となります。しかし、本社が現場作業員の動態をリアルタイムで把握しておくことで、現場終了後の報告作業を必要最低限に抑えることが可能です。
これには本社での管理を円滑にするほか、現場作業員の負担を軽減する効果もあり、現場と本社双方にとってメリットがあります。
二つ目は、事故やトラブル発生時の対処を円滑に行うためです。現場作業では移動中・作業中を含めて、どこでどんなトラブルが発生するかわかりません。万が一トラブルが発生したとき、作業員の動態を把握できていなければ、迅速に対応することができません。
本社は現場のサポートをスムーズに行うために、現場作業員の動態を把握できることは必要でしたが、これまで以上にできるだけリアルタイムで把握できる仕組みをつくっておく必要が出始めています。
3.ヒト(従業員)の位置情報管理における課題
従業員の動態・位置情報を管理するためには、いくつかの課題があります。常に本社から離れて行動する現場作業員の動態を把握するのは、簡単なことではありません。現場作業員を抱える工事現場や点検作業員、ビル建設などの作業現場で多い課題を3つご紹介いたします。
3.1担当者の状態が把握できない
作業計画が整っており、どこで誰が作業するのかの担当割り振りもしっかり計画されているにもかかわらず、現場担当者がどのような作業を行なっており、現場がどんな状況になっているのか、管理側が把握できていないというケースは非常に多く散見されます。
現場作業を行なっているなかでは、こまめな連絡が取れない場面も多々あります。そのようなとき、管理者は現場の担当者に連絡が取れるまで、一切現場の状況が把握できません。
一方、作業担当者はそんな中でも業務を自己判断で遂行するか、連絡が取れるまで作業を一旦停止して手待ちになってしまうといったことも存在します。その結果として業務上のミスが起こったり、作業効率が著しく低下したりすることが多発するわけです。
一般的には本社の管理スタッフよりも、現場作業員の数のほうが圧倒的に多い事業モデルの会社が大多数を占めます。また現場側でも現場管理者がいるわけですが、管理者よりも現場作業員の数の方が多いのが実態です。このように担当者の動態を把握するための人員にも限界があり、そのため作業員の状態が把握できないという状況に陥ってしまうのです。
さらにこれまでは担当者の状態を示すあらゆる情報がは人による定性的な把握でしか入手できなかったわけですが、IoT等の発達によってリアルタイムで把握することが出来るようになってきたのが近年の大きな進化です。その結果顧客企業やエンドユーザーへのサポートをよりスムーズに行いたいと言った要望も出てきました。
3.2正確な作業場所が分かりにくい
配達業など常に移動を繰り返す作業を担う会社では、配達員の現在地や作業場所がわかりにくいことも珍しくありません。
こまめな連絡で簡易的な位置は確認できますが、複雑な小道が多い場所などでは、正確な位置が判別しにくいケースも多くあります。現場で巡回する従業員が多ければ多いほど、それぞれの作業場所を正確に把握することは困難となります。
また、規模の大きい工場や倉庫などの場合、特定の作業員を探す際に位置管理ができていなければ、発見までに手間と時間がかかってしまいます。
ビル建設などの現場では、資材置き場や加工場所、ビル内での各階に分かれた施工作業、そしてビル内での見通しの悪さから、どこでだれがどのような作業を行っているのかを把握するのが至難の業でした。
3.3行動量を数値化できない
作業員が何をどこまでどれだけ運んだかといった行動量は計測することが非常に難しく、これまででは1日当たりの人工費用に見合った作業内容であったかを検証する方法はありませんでした。また、安全な基準内での労働環境となっているかなどの把握も困難であるため、労働法の順守や働き方改革推進を阻害してしまう可能性があります。
フルフレックス制や変形労働時間制の環境でも同様の課題があり、現在の状況や稼働時間など、長時間労働にならないよう管理するためには、位置情報管理システムの導入が必要不可欠です。
従業員の位置情報や行動量を定性的にではなく定量的に数値で管理できるようになれば、業務の効率化はもちろん労働環境の改善にも活用可能です。各地で移動する従業員の行動を把握するのは難しいと思われるかもしれませんが、位置情報管理システムを駆使すれば、簡単に実現することができます。
4.現場の位置情報管理をするシステムの例
本社や事務所などから、各地の現場の位置情報を管理するには、位置情報管理システムを導入するのがもっとも手軽です。近年ではIoTのツールを始め位置情報を管理するツールも増え、低コストで高い精度での管理ができるものも数多く販売されています。
無料で利用できるものから、法人向けの管理システムまで数多くある位置情報管理テクノロジーの中で、代表的なものを3つご紹介いたします。
4.1GPS
位置情報管理ツールとしてもっとも代表的なのが「GPS」です。
正式名称は「Global Positioning System」で世界的に利用されている位置情報測定システムです。衛星や地上管制を介した情報を受信機が受信することで、正確な位置を計算・測位することができます。
近年ではスマートフォンや車両などにも標準搭載されており、手軽に導入できる位置情報管理ツールのひとつといえるでしょう。法人向けにGPSを活用した位置情報管理ツールも数多く提供されており、低コストで運用が可能です。
少人数の企業であれば、個人向けのGPSでも位置情報を管理できますが、一定以上の規模であるなら、法人向けのサービスを検討してみるといいでしょう。スマホにインストールするアプリ型から、車載端末を介したリアルタイム位置情報管理システムなど、さまざまな種類があります。
4.2NFCタグ
NFCタグはNFC技術を搭載したICチップの総称です。NFCとは「近距離無線通信(Near Field Communication)」を意味する言葉で、タグに書き込まれた情報を1メートル圏内など短い距離で通信することができます。身近なところではSuicaやEdyなどの電子マネーカードもNFCを活用したサービスです。
NFCタグ単体では現場作業員の位置情報を管理することはできません。しかしスマホやスマートデバイスに搭載されたGPSやWi-Fiと組み合わせてその情報を簡易に読み取ることで、NFCタグと連携して位置情報をクラウド等の環境に送信することができます。
社員証などにNFCタグを貼り付けておき、従業員全てに位置情報管理アプリを持たせておけば、全作業員の位置情報の管理が可能、といった使い方ができです。
4.3ビーコン
ビーコンとは元々は信号発信器の総称です。位置情報の把握に使われるのは「Bluetooth Low Energy(Bluetooth LE)」という規格の信号を活用したBLEビーコンであることが多数を占めます。スマートフォンに搭載されているBluetooth機能でBLEビーコンが発信する電波をキャッチすることで、リアルタイムの位置情報を得ることができます。近年、現実の街中を歩くことでイベントをクリアするアプリゲームなどが流行っていますが、あれもビーコンを活用したシステムです。
ビーコンとGPSはどちらもリアルタイムの位置情報を測定できる通信技術ですが、位置情報の発信原が異なります。GPSは人工衛星から発信される電波をキャッチし、それぞれのGPS受信端末の位置情報を獲得する仕組みです。
GPSは人工衛星からの電波がキャッチできない屋内や地下に入ってしまうと、位置情報が届かなくなってしまいます。対してビーコンはBluetooth信号を活用した通信技術のため、専用のアプリや端末があれば、地下や建物の中にいても位置情報を得ることが可能なのです。
そのため工場や倉庫など、広大な敷地の建物内で作業を行う仕事では、GPSよりもビーコンによる位置情報管理が採用されています。ビーコンを活用することで屋内での業務効率が向上したという事例も少なくありません。
5.位置情報管理システムのサービス紹介
位置情報管理システムには、基本的な仕組みとして「GPS」「NFCタグ」「ビーコン」の3種類があることをご紹介しました。いずれもリアルタイムな位置情報を送信できるシステムですが、それぞれの規格には得意不得意があります。
企業によっては複数種類の位置情報システムを併用して、作業員の動態を管理しているケースも多くあります。重要なのは自社にとって業務効率と安全性の向上につながるか否かですので、まずはいくつかの位置情報管理システムを比較してみるとよいでしょう。
システムによって採用している通信方法や端末も異なるため、自社に最適なツールを検討してみてください。
5.1 iField(アイ・フィールド)
iField(アイ・フィールド)は、マルティスープ株式会社が提供する位置情報管理システムです。“フィールド業務のパフォーマンスを最大限に!”をコンセプトに設計されたシステムで、作業員に限らず営業職など外回りスタッフの位置情報管理に活用することができます。
現場の数だけある報告書。しかし現場作業員にとっては、報告書の作成は必要最低限の時間で負担なくこなしたいものです。
iFieldを活用すれば、専用タブレットで現地から簡易的な報告書をすぐに作成することができます。ボタン一つでExcelに出力できるため、あとは必要に応じて編集や印刷を行い、提出するだけでOKです。
報告書作成画面には画像添付もあるため、現地の写真などが必要な場合も滞りなく簡易報告書をスピーディに作成できます。もちろんExcelに出力したあとはメールなどを通じて送信することもできるため、報告書作成のために事務所に戻る必要もありません。
iFieldには、スタッフそれぞれが指示や当日の動態を共有できるシステムが実装されています。現場で煩雑に発生する作業指示では、目的や内容が不明確で作業員のストレスになってしまうことも少なくありません。
管理者がiFieldを通じて事前に目的や指示内容を共有しておくことで、スタッフは直感的に内容を理解することができます。こちらの画面でも画像を添付できる仕組みになっているため、現場で必要になる資料などを共有しておけば、全体の業務効率化にも効果が期待できるでしょう。
定期位置通知・報告書送信時など、定期的な位置情報の送信により常に担当者の位置を把握することができます。現場でイレギュラーな事態が発生した場合でも、お互いの位置が判明していれば迅速な対応が可能です。
iFieldはスマホ・PC・タブレットで利用可能な位置情報システムです。
OSはiOS・Androidに対応しているため、スマホの機種を選ばず利用することができます。
業務内容などによっては、汎用的なシステムでは対応できないというケースも少なくありません。そのような企業に対しては、iFieldの個別カスタマイズも対応しており、自社の状況に合わせた最適なソリューションを提案してもらえます。
これまで汎用的な位置情報管理システムでの対応が難しく、導入を諦めていたのであれば、一度INDUSTRIAL-Xにお問い合わせください。位置情報管理システムの導入により、どのような課題を解決できるか、そしてどのような効果が出るのかの試算から導入定着化支援まで大幅な業務効率向上につながるご提案が可能です。