近年、業務やマーケティング活動を効率化するために、モバイルアプリを導入する企業が増えています。企業ごとの業務に合わせたモバイルアプリを開発することで、ペーパーレス化やDXを推進し生産性の向上を実現することは、労働力不足が叫ばれる昨今においては必要不可欠な活動といえるでしょう。

 

しかし、これまでモバイルアプリ開発を行ったことがない企業では、ノウハウや開発費不足といった問題もあり、簡単には手が出せないのではないでしょうか。そのような中で注目を集めている開発手法が、後述するノーコード・ローコードの開発プラットフォームを活用したモバイルアプリ開発です。

 

今回は、モバイルアプリ開発に必要な知識や課題、ノーコード・ローコードの開発プラットフォームを使うメリットなどについて紹介します。

1.自社モバイルアプリを開発する方法は?

まず、モバイルアプリ開発を行うために必要な環境や開発言語を解説します。

1.1モバイルアプリの開発に必要な環境

一般的なモバイルアプリを開発するために必要な環境を紹介します。

iPhoneアプリ開発に必要な環境

まず、iPhone(iOS)アプリを開発する場合には「XCode」と呼ばれる開発用のツールが必要です。また、XCodeがインストールできるのはMacOSだけであるため、必然的にMacが必要になります。もちろん、開発したモバイルアプリの動作確認を行うためのiPhoneやiPadも準備しておかなくてはなりません。

 

なお、モバイルアプリをAppStoreで配信するためには「Developer Program」と呼ばれるサービスへの登録も必要です。

Androidアプリ開発に必要な環境

一方、Androidアプリを開発する際には「Android Studio」という開発プラットフォームが必要ですが、XCodeとは異なりWindows、Macのどちらにでもインストールすることが可能です。そのため、どちらかのパソコンと動作確認用のAndroidスマホやタブレットがあれば、モバイルアプリの開発ができます。

 

ただし、モバイルアプリをGoogle Playストアに配信する場合は、初回のみ25ドル必要です。

1.2 モバイルアプリ開発言語

モバイルアプリの開発言語もiPhoneアプリとAndroidアプリでは異なります。

iPhoneアプリの代表的な開発言語

iPhoneアプリを開発するうえで欠かせない開発言語が「Swift(スイフト)」です。SwiftはAppleが提供している開発言語で、モバイルアプリだけではなく、すべてのApple製品のアプリが開発できます。

 

以前まで、Appleの公式開発言語は「Objective-C」と呼ばれるものでしたが、現在は初心者でも扱いやすいといった理由から、Swiftでのモバイルアプリ開発が主流です。なお、Swiftで開発を行う場合には、前述したXCodeを用いる必要があります。

 

さらに、高度で複雑なモバイルアプリを開発したい場合には「UIKit」と呼ばれるCSSフレームワーク(Webサイトを効率よく開発できるツール)が使えると便利でしょう。

Androidアプリの代表的な開発言語

Androidアプリ開発で最もメジャーな開発言語が「Java(ジャバ)」です。JavaはAndroidアプリ以外にもさまざまなアプリやソフトの開発ができる点がメリットですが、複雑で難解なため、習得に時間がかかる点がデメリットだといえるでしょう。

 

そして現在、Androidアプリ開発で多くの方に利用されている開発言語が「Kotlin(コトリン)」です。GoogleからAndroidアプリ開発用の公式開発言語として認定されています。KotlinはJavaよりも簡単にモバイルアプリ開発が行えるため、これからアプリ開発を行う方には最適です。

 

なお、JavaとKotlinどちらでモバイルアプリ開発を行う場合でも、Android Studioの使用が必須の要件となっています。

2.自社モバイルアプリ開発での課題

モバイルアプリを開発するためには、開発費用、ノウハウ不足、適正な運用の実施という3つの課題をクリアする必要があります。

2.1膨大な費用が掛かる 

モバイルアプリ開発に必要な費用は、内容によって大きく異なりますが一般的な相場感は以下の通りです。

 

・業務管理ツール:50~300万円程度

・EC:100~300万円程度

・ゲーム:300万円~1,000万円程度

・SNS:100~500万円程度

・チャットボット:50~100万円程度

(アプリの内容や規模によっては上記に限らない)

 

ただし、上記はあくまでも開発にかかる人件費と固定費の相場です。これに加えて、AWSといったクラウドサーバーのランニング費用や、アプリの更新などがある場合は運用費なども必要になります。

 

また、モバイルアプリ開発を外注する場合には、1人月100~150万円程度を見込む必要があるでしょう。さらに、ハイレベルな開発会社や技術者を使いたい場合には、1人月200万円以上必要なケースもあります。

2.2自社開発ができない 

モバイルアプリを開発するためには、アプリ開発やサーバーの構築運用などを行うプログラマーやエンジニアに加え、アプリを企画してプロジェクトをけん引するプロジェクトマネージャーやデザイナー、アプリの運用や効果検証を行うスタッフやマーケターなど、多くのリソースとノウハウが必要になります。そのため、過去に1度もモバイルアプリを開発したことがない企業が自社開発するのは、ハードルが高いといわざるを得ないでしょう。

 

さらに、エンジニアやプログラマーといったIT人材は、現在完全な売り手市場のため、雇用することが難しい状況です。よって、アプリ開発を自社で行いたい場合には、IT人材の雇用と並行して人材育成も必要です。

 

しかしながら、そもそもモバイルアプリ開発のノウハウがない企業においては、IT人材を育成することは困難でしょう。よって、自社でモバイルアプリの開発ができる企業は非常に少ないというのが現状です。

2.3開発後の運用ができない 

なんとかモバイルアプリを開発できたとしても、開発後の運用ができない企業も多いものです。

 

モバイルアプリを開発した後は、コンテンツなどを更新するための運用業務や、OSのバージョンアップ内容によっては改修が必要になる場合もあります。さらに、ユーザーからの問い合わせ対応やバグの発生による改修作業など、開発後に行うべき業務は山積みです。

 

そのため、モバイルアプリを導入する場合には、日々の運用作業やリソースも視野に入れたうえで検討する必要があります。

3.ノーコードならプログラミング不要でモバイルアプリを自社開発できる!

モバイルアプリの開発経験が少ない企業でも、ノーコード・ローコードの開発プラットフォームを活用することで、比較的簡単に自社開発ができるようになるでしょう。

3.1ノーコード/ローコードとは

まずノーコードとローコードの違いは、文字通りノーコードがプログラムコードをまったく必要としないという意味で、ローコードは少ないプログラムコードで開発ができることを意味します。CMS(コンテンツマネジメントシステム)などを活用することで、プログラム未経験者や初心者でもアプリ開発が行いやすいことから、近年利用する企業が増加傾向にあります。

 

ノーコードの開発プラットフォームはプログラムコードを必要とせず、シンプルで汎用的なモバイルアプリの開発に適しています。しかし、社内システムやサーバーなどとの連携ができないものが多く、個社ごとの細かいカスタマイズがしづらい点がデメリットです。

 

一方、ローコードの開発プラットフォームはノーコードに比べ、若干のプログラミングスキルが必要になりますが、拡張性や柔軟性に優れているため、自社の業務に最適化したモバイルアプリが開発しやすい点がメリットだといえます。また、ローコードであればさまざまなITツールやサービスとの連携も実施可能なものが多いです。

3.2開発できるアプリ例

ノーコード・ローコードの開発プラットフォームにおいても、一般的なモバイルアプリの開発ができます。

 

まず、モバイルアプリは大きく「ネイティブアプリ」と「Webアプリ」の2種類に分類され、その双方において業務管理ツールやEC、ゲーム、SNS、チャットボットといったジャンルに細分化されます。

 

ネイティブアプリとは、アプリの提供する機能をすべてモバイルアプリの中で完結させる方式のもので、通信の回数が少なくユーザビリティが高い点が特長です。業務管理ツールやゲームなどは、ネイティブアプリで開発することが一般的でしょう。

 

一方、WebアプリとはSafariやChromeなどWebブラウザを経由する方式で、常に通信を行うためインターネット環境が不可欠になります。ECやSNSなどのモバイルアプリは、Webアプリで開発されることが多いです。

 

Webアプリの場合には既にWebページがある場合にその機能を最大限活用しながら実装することが可能なので、一般的にはネイティブアプリを開発するよりもハードルが低いと考えられています。

4.自社モバイルアプリ開発はノーコード開発プラットフォームを使おう!

ノーコード開発プラットフォームを活用してモバイルアプリを自社開発できれば、企業の生産性向上につなげられるでしょう。

4.1初心者でも開発できる

ノーコード開発プラットフォームであれば、プログラムなどの知識を持たないスタッフでも、モバイルアプリの開発が可能になります。そのため、社内にプログラマーやエンジニアなどのIT人材が少ない企業においても、モバイルアプリを自社開発して業務効率化を実現できるでしょう。

4.2ペーパーレス・DXを実現

業務効率化を実現するモバイルアプリが導入できれば、これまでオフィスでしか実施できなかった作業をスマホやタブレットなどで完結できるようになるため、リモートワークなども行いやすくなるでしょう。また、紙を使った契約作業や押印作業などをモバイルアプリで実施できるようになることで、ペーパーレス化にもつながります。

 

モバイルアプリを自社開発して社内のDXが推進できれば、生産性が向上し業績が上がる可能性も高くなるでしょう。

4.3営業・マーケティングにも活用できる

営業支援用のモバイルアプリを開発して現場に導入することで、営業マンの業務効率化を実現し生産性を向上させることが可能です。

 

例えば、逐次アップデートされる営業用の資料をすべての営業マンで瞬時に共有できるようになったり、顧客先ではタブレットを活用してプレゼンを実施したりすることでペーパーレス化にもつながります。つまり、営業管理部門のスタッフと営業マン、両方の業務効率化が実現できるというわけです。

 

一方、最近は企業が自社サービスやブランドのアプリをリリースするケースが増えています。その目的のひとつが、顧客とコミュニケーションを取る接点を作ることで、ブランドやサービス、商品へのエンゲージメントを上げロイヤルカスタマー化するためです。

 

さらに、アプリで最新情報やコンテンツを発信しつつ、SNSやチャットボットなどで顧客とコミュニケーションを取ることで、有益なデータも入手できるでしょう。よって、マーケティング活動を最適化するためにも、モバイルアプリの活用は有効です。

5. おすすめのノーコードモバイルアプリ開発プラットフォーム紹介

ノーコード・ローコードの開発環境を有効活用することで、モバイルアプリの自社開発は夢ではなくなりました。業務効率化やDXを推進するために自社でもモバイルアプリ開発にチャレンジしてみようという方のために、おすすめのノーコード開発プラットフォームを2つ紹介します。

5.1 Unifinity

「Unifinity(ユニフィニティー)」は業務用のモバイルアプリ開発に特化した、ノーコード開発プラットフォームです。GUIを活用した視覚的なUIやさまざまなテンプレートを活用することで、プログラミングができないスタッフでもモバイルアプリの開発が簡単に行えます。

 

iOSやAndroidのOSのバージョンアップに伴う影響は、Unifinity側で吸収してくれるため改修は不要です。また、開発したモバイルアプリはすぐに配信できるだけでなく、配布先のスタッフやグループを限定することもできます。

 

さらに、ノーコードの開発プラットフォームであるにも関わらず、さまざまなアプリやサービスと連携可能な点も見逃せません。

5.2 Platio

「Platio(プラティオ)」は自社の業務に最適なモバイルアプリを3日で開発できるノーコード開発プラットフォームです。100種類以上もの豊富なテンプレートの中から、自社の課題解決に最適なものを選択して、プログラムの知識がないスタッフでもモバイルアプリの開発が行えます。

 

Platioで開発したモバイルアプリはすぐに配信が可能なため、業務効率化が素早く行える点がメリットです。日々の業務における課題を解決するモバイルアプリを、現場スタッフで開発することもできるため、社内のDX推進がスピーディーに行えるでしょう。

 

株式会社INDUSTRIAL-Xでは、自社内のアプリを実際にUnifinityで作ってみるなどのトライアルをはじめ、お客様のモバイルアプリの作成代行なども手掛けております。既存の業務アプリケーションをモバイルで扱うことを可能にし、業務やモバイルワークのルール整備、セキュリティ対策までを含むテレワークの実現を多数支援しています。導入にあたっては、当社でサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。