インターネットの普及、IT技術の進化、そして新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、オンライン上で会議やミーティングを行う企業が増えています。しかし、現在さまざまなサービスが乱立し、自社に最適な動画・ライブ配信ツールの選択が難しいと感じるケースも増えているのではないでしょうか?

そこで、今回はオンラインでの会議に使うツールにはどのようなものがあるのか、メリットとデメリットも見つつ、自社に最適なツールを選択するためのポイントをお伝えします。
 

1.会議の方法にも選択肢が増えた時代

国が掲げる働き方改革の一環として、企業にテレワークの導入を勧めてきたものの、思ったようには進んでいませんでした。しかし、2020年に入り新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令で、テレワーク導入は一気に増加。

特に東京では導入率が高く、東京都の調査では、2021年2月後半時点で58.7%と半数以上の企業が導入しています。

テレワークが増えたことで、従来のオフィス中心の働き方は大きく変わり始めています。特に今回大きく変わったことは、対面での会議やミーティングが大幅に減り、一方でインターネットを介したオンラインでの会議が増加した点です。

キーマンズネットが2021年5月7~21日にかけて行った、「Web会議ツールの利用状況」。これによると、Web会議ツールを利用していると回答したのは97.6%。回答者のほぼすべてがWeb会議ツールを利用していることになります。

オンライン会議が増加した背景としては、テレワークを導入する企業が増えたのはもちろん、それ以上に大きかったのが新型コロナウイルスの感染拡大でしょう。社内での会議だけではなく、取引先との打ち合わせにおいても、対面を防ぐためにオンライン会議を活用するようになりました。これが、オンライン会議が増加したもっとも大きな理由といえます。

また、インターネットを活用した会議は、現在ではオンライン会議だけではありません。双方向性のあるオンライン会議は基本的にミーティングや1対1の商談などの場で、報告が中心の会議となると双方向性は必要ないため、ライブ配信や録画配信を使うケースが増加しました。会議の内容によって選択肢が多様化しています。

 

2.オンラインでの会議に使われるツールを比較

ひと口にテレワークといっても、在宅型のほか、外出先からのモバイルワーク、サテライトオフィスやコワーキングスペースの利用などその形態もさまざまです。また、最近では、テレワークを中心に状況に応じてオフィスに出社する、ハイブリッドワークを導入する企業も増加しました。前項でも触れたように、オンラインでの会議に使われるツールも多様化しています。ここでは、そのなかでも多くの企業で利用されている3つのツールを紹介しましょう。

2.1Web会議システム

前項で挙げたキーマンズネットの調査でもわかるように、もっとも多くの企業が利用する、オンライン会議ツールです。主なツールとしては、Microsoft Teams、Zoom、Skype、Google Meetなどが挙げられます。

インターネット環境さえあればどこでもテレビ電話に近い形で気軽に利用できるうえ、大人数での同時利用も可能なことから、社内外での会議、ミーティングと活用の場が広がっています。

 

2.2動画配信プラットフォーム

株主に対して行う決算報告、社員研修など双方向で行う必要がないうえ、必ずしもリアルタイムでなくてもよい場合に利用されるのが、動画配信プラットフォームです。無料のものとして代表的なツールにYouTubeがあります。

また、法人向けのツールであれば、視聴のログを取ったり、ログインパスワードを設定したりできるため、一部の部署のみ公開といった使い方も可能です。リアルタイムではないため、視聴する側が自分の都合に合わせて利用できるのも、動画配信プラットフォームの利点といえるでしょう。

 

2.3ライブ配信プラットフォーム

オンラインで行うセミナー、「ウェビナー」や大企業が行う経営報告会議などリアルタイム性は必要なものの、一方通行でも成立する場合に利用されるのが、ライブ配信プラットフォームです。Facebook Live、YouTube Live、LINE LiveなどSNSが提供しているものの多くは無料版もありますが、多機能で有料版のものもあります。

基本的には一方通行ですが、チャットやアンケート機能がついているものも多く、ウェビナーで参加者から質問を受け付けたり、アンケートをとったりすることは可能です。

 

3.オンラインで会議を配信するメリット・デメリット

ここまでオンライン会議ツールの種類を説明してきました。では、これらのツールを使うことは企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

3.1参加者の移動時間・コストが不要になる

オンライン会議は基本的にインターネットに接続できる環境であれば、いつでもどこでも利用可能です。そのため、テレワークをしている社員がわざわざオフィスに出社する必要がなければ、商談や打ち合わせで取引先まで出向く必要もありません。場合によっては、出張する必要もなくなるでしょう。

これらのことから、オンライン会議を利用すれば、会議を行う場所まで移動するための時間やコストが不要になります。その結果、移動にかかる時間を別の仕事で使う、移動にかかる交通費を製品やサービスの質向上に回すことが可能になり、業務効率化、生産性向上に大きく貢献します。

 

3.2会場の費用をカットできる

社内でのミーティングや取引先との商談であれば、対面であっても会議室や商談ルームでことが済みます。しかし、セミナーとなれば、場合によっては百人規模での開催も珍しくありません。そうなれば、それに応じた会場の準備が必要となり、会場費はもちろん、設営や受付など人手もコストもそれなりにかかってしまうでしょう。

しかし、ウェビナーであれば、参加者が何人いようと社内の会議室での配信も可能です。また、資料も事前にメールで送信しておけば、印刷やコピーにかかる費用もカットできるうえ、参加確認もすべてツール上で行えるため、人とコストの大幅削減が実現します。

 

3.3テキスト(チャット)での質問がしやすい

会場費やセミナー開催にかかる人件費の削減にかんしては、セミナーを開催する側のメリットですが、参加する側のメリットも少なくありません。最初に紹介した、会場へ向かうための時間や交通費といったコストが削減されるのに加え、セミナー参加時にもメリットがあります。それは、ウェビナーの場合、テキスト(チャット)で質問ができる点です。

もちろん、大勢の人がいるなかで挙手をして堂々と質問できるかたもいらっしゃるでしょう。しかし、多くの人はそうした場面で挙手ができず、後になって後悔するケースが多いのではないでしょうか。また、挙手をしたにもかかわらず、時間の都合で質問できなかったといったケースも十分に考えられます。

これに対し、多くのウェビナーには、テキスト(チャット)機能がついているため、周りを気にすることなく自由に質問ができます。また、その質問内容によっては、講師が率先して回答してくれる場合もあるでしょう。オンラインでの会議はそうした意味で誰でも気軽に質問ができるのもメリットの一つです。

 

3.4会議資料が見やすい

オンライン会議で使う資料は紙ではなく、PDFを使って電子化されたものが基本となります。そのため、紙に比べ一覧性がなくなり視認性も悪くなるのではと思われるかたも多いかもしれません。

確かに紙の資料には電子化されたものにはないメリットもあるでしょう。しかし、電子化された資料であれば、資料の内容によっては一覧性がない分、文字サイズを自分用に自由に調整することが可能です。

また、会議自体はスマートフォンやタブレットで聞き、資料はパソコンの大画面で見るといったこともできるため、必ずしも電子化された資料では見にくいといったことはありません。むしろ、工夫次第では紙の資料よりも見やすくなることもあるでしょう。

 

3.5管理体制の強化が必要な場合もある

ここまで、オンライン会議を行うメリットを紹介してきました。しかし、少なからずデメリットも存在します。会議を主催する側としては、対面ではないため内容を理解しているかどうかの把握がしづらい点。さらに、参加する側としては、会議を行っている側の雰囲気や様子がわかりにくい点です。

特に、オフィスの会議室で会議を行い、自分だけが自宅から参加しているといった際には発言もしにくくなってしまうでしょう。

そのため、会議主催者はその場にいない社員は常に気にかけ、こちら側から意見を求めるように仕掛ける。会議終了後に少人数で双方コミュニケーションのとりやすいツールなどを用いて面談などを行うといったケアが必要です。

 

4.配信プラットフォームを選ぶ時に考えるポイント

基本的にどのような会議でツールを利用するのか、その目的を明確化させなければ、最適なツール選択はできません。それを踏まえたうえで、オンライン会議のメリット・デメリットを踏まえ、実際に配信プラットフォームを選択する際、何に注意すればよいのか、そのポイントを紹介します。

 

4.1双方でコミュニケーションがとれる機能の有無

ミーティングや商談などをメインに考えているのであれば、双方向でコミュニケーションが取れる、オンライン会議ツールが最適です。

しかし、報告会やウェビナーなど基本的に言葉でのコミュニケーションを必要とせず、一方向からの発信がメインであれば、双方向性はなくても問題はありません。動画配信プラットフォームやライブ配信プラットフォームのほうが目的に合っているといえるでしょう。

 

4.2同時に参加できる最大の人数

例えば、オンライン会議ツールのZoomでは、無料アカウントで100人、有料アカウントでは最大で500人まで同時接続が可能です。動画配信プラットフォームやライブ配信プラットフォームも種類により、同時接続数は異なります。

基本的に100人以下でしか使わないのであれば、無料で利用できるものも多いですが、それ以上となると、有料になるケースが多くなります。そこで、「最大で何人程度が参加できる会議を想定しているのか」「月に何回ぐらい利用するのか」などをある程度、決めたうえで無料・有料を選択するようにしましょう。

また、できるだけ予算を抑えるためには、配信時間を1日数回に分けるなどの対応を行えば可能です。しかしその分、手間や時間はかかってしまうため、自社にとって最適な利用法はしっかりと検討することをおすすめします。

 

4.3アーカイブ機能の有無

ライブ配信プラットフォームを選択する際は、アーカイブ機能があるかどうかも必ずチェックしましょう。ライブ配信機能しかなければ、リアルのセミナーほどではないものの、時間の都合で参加できないかたをカバーできません。

より、多くのかたに参加してもらいたい場合は、アーカイブ機能があるツールを選択し、期限を決めて何回でも視聴できるようにしましょう。

 

4.4かけられる予算の範囲

ここまでのポイントも踏まえ、オンライン会議のツールにどの程度の予算をかけられるのかはしっかりと決めておく必要があります。

オンライン会議ツールを利用する目的、どうしても実現させたい機能などを明確にしたうえで、それが予算内に収まらない場合、「何を削るのか」「経営層に掛け合って予算を増額してもらうのか」などを検討しましょう。

 

4.5機能が多すぎないかチェックする

機能が多ければ多いほど、後になってあってよかったと思うケースは多いかもしれません。しかし、逆に導入したもののまったく使わない機能がいくつもあるといったことになる可能性もゼロではないでしょう。また、多機能のものを選んでしまうと扱いづらく、特定の人しか使えないといったデメリットも考えられます。

これを避けるには、目的を明確にし、それを実現させるためにどのような機能が必要なのか、または必要ではないのかを必ずチェックしなくてはなりません。これもツール選択をするうえで重要なポイントになります。

 

5.まとめ

テレワークはもちろん、オンラインでの会議も今後、新たな働き方の一つとして定着していくことが予想されます。しかし、現在ではオンラインでの会議方法も多様化し、やみくもに導入しても自社には合わなかったといったケースも少なくありません。

そのため、導入前には必ず目的や使い方を明確にし、そのうえで自社に最適なツールの選択をすることをおすすめします。