圃場の見える化を通じて生産性と収量を向上



農業の現場で行われている圃場管理(ほじょうかんり)は、いまだにその多くがアナログな作業で実施されているのが現状です。また、農家における労働力不足は他産業と比較しても最も深刻な問題であり、業務効率化による生産性の向上が求められています。

 

そのような中、圃場管理をデジタルツールで最適化・効率化する、圃場管理システムが注目を集めています。スマホやパソコン、タブレットなどで作業を効率化できるため、さまざまなメリットがあり、先進的な農家では導入されはじめています。

 

そこで今回は、圃場管理システムがどのようなものか紹介しますので、生産性と収量を向上したい農家の担当の方は参考にしてみてください。

1.圃場管理とは

圃場管理とは農業を実施するうえで必要な、リソースや面積、作付、作業履歴といった情報を一元管理し、地図情報と連携させることで、作業の効率化を実現する活動のことです。また、収穫量や出荷数、肥料や農耕機具の管理なども圃場管理の一環となります。

1.1なぜ圃場管理が必要?

農業を営むうえでは、さまざまな作業が必要です。

例えば、収穫作業や農薬散布、施肥といった農作業を抜け漏れなく行うためには、農場ごとに細かく実施記録を付ける必要があります。

 

そのため、ノートや台帳、カレンダーなどに作業の記録を記述しておかなくてはいけません。しかし、農場の数が増え作業を何か月も繰り返すうちに、膨大な量の記録となり、紙ベースでの管理を行っている場合は、過去の作業履歴の振り返りなどが困難になるでしょう。

 

また、作業記録が曖昧になることで、作業の抜け漏れや重複なども発生し、生産性の向上を阻害する要因になります。したがって、圃場管理を適正化することが、農家の生産性や収量の向上には欠かせないのです。

2.圃場管理における課題

圃場管理には以下のような課題があるため、これらを認識したうえで解決していくことが求められます。

2.1記録を手動管理しなければならない

農作業の記録をノートや台帳、Excelなどを使って管理する場合、基本的には手動での入力作業になります。近年多くの農家において、体力のある農家が引退する農家の圃場を取得したり、農業放棄地を取得する事が増えていることから管理する圃場の数は増大傾向にあり、200~300筆といった圃場を管理するケースも珍しくありません。

 

したがって、すべての圃場の作業情報を入力するためには、甚大な作業工数が必要になり、労働力不足の農家においては大きな課題といえるでしょう。よって、管理作業を効率化することで生産性を上げる活動が必要です。

2.2作業の抜け漏れ

圃場管理がきちんとできていない農家では、抜け漏れやミスの発生率が高くなります。作業情報が正しく管理されていない場合、作業の手戻りや、場合によっては収量に悪影響を与えることもあるため、記録をきちんと取って管理を徹底することが、すべての農家における課題といえるでしょう。

 

また、GAP認証の取得時には、正確な生産記録を速やかに提出しなくてはいけないため、圃場管理の適正化がされていない農家においては、経営に深刻なダメージを受ける可能性もあるので注意が必要です。

※「GAP」とは、「Good Agricultural Practices」の略。GAPの日本語は「農業生産管理工程」。農業生産者が農作物の安全性や労働環境、環境への配慮などについて、第三者による認証を受けて取得できるもの。

「GAP認証」は、出荷農産物の品質を保証するものではなく、GAPを実践している農場が、民間の評価基準(例えばグローバルGAPの認証基準)に合格していることを示すものであって、あくまでも農場の認証。

 

2.3湿度や温度の毎日管理

農作業において温度管理と湿度管理は重要な作業のひとつです。特に露地栽培や冬場の作物栽培においては、厳密な温度管理と湿度管理が必要となります。

 

温度や湿度は24時間365日、厳密な管理が必要になりますが、すべてを細かく管理しようとすると多くのリソースとコスト、時間がかかります。さらに、圃場が広範囲に亘る場合には、場所によって天気が変わることもあるため、管理が非常に煩雑になる点が課題といえます。

 

また、1日だけでなく1週間後の天気なども予測して、早めに対策を講じる必要があります。適正な温度管理と湿度管理を行うには作業の効率化が求められるでしょう。

3.圃場管理システムとは

圃場管理を手作業で実施し続けるのは、現実的ではありません。そのため、圃場管理の課題の解決手段として、圃場管理システムの活用がおすすめです。圃場管理システムの概要と導入メリットを紹介します。

3.1概要

「圃場管理システム」とは、農作業の管理や作物の生産量や圃場の環境をスマホやパソコン、タブレットなどで可視化できるITツールになります。従前のノートや台帳、Excelなどを使って手動で行っていた圃場の管理情報を、効率的に一元管理することが可能です。

 

日々の作業記録の入力や、過去データの検索、参照がスムーズに行えるようになるため、圃場管理における作業の最適化につながるでしょう。圃場管理システムは、オンプレミス型とクラウド型の2種類が存在します。

 

オンプレミス型とは、農家が自前でサーバーやソフトウェアを準備・開発するタイプのもので、農家ごとに機能を細かく最適化できる点はメリットですが、開発・運用コストが高額になる点や、メンテナンスを行うIT人材が必要になるなど、導入ハードルが高い点がデメリットです

 

一方クラウド型とは、インターネット上に圃場管理システムの機能を構築したもので、汎用性が高く導入コストも安いため、システムの開発や運用コストが安く済む点がメリットになります。毎月のソフト利用料を支払うことで利用できますので、非常にお手軽です。

 

現在はオンプレミス型に代わり、クラウド型の圃場管理システムが主流になっており、多くの農家で導入されています。

3.2機能・特長

一般的な圃場管理システムの機能や特長を紹介します。

作業記録の登録機能

これまでノートや台帳、Excelなどに手入力していた作業記録を圃場管理システムへ入力することで、日々の作業を厳密に管理できるようになります。作業の抜け漏れがなくなり、作業の効率化や引き継ぎがスムーズに行えるでしょう。また、農薬や肥料の使用履歴の提出もスピーディーに実施できるようになります。

地図情報とのデータ連携

圃場管理システムでは圃場ごとの位置や広さなどを地図データと連携できますので、作付計画や作業動線の確認といった作業がスムーズに行えます。GPSや航空写真のデータと併せ、圃場の様子が手に取るようにわかる点がメリットです。

データ共有機能

農家のメンバー間でアカウント連携することで、データ共有が可能になります。スマホやタブレットなどで一元管理されたデータを共有できますので、非常に便利です。

経理・財務管理機能

農作業にかかる人件費や資材などの投資コスト、光熱費や売り上げなどの情報を一元管理することが可能です。そのため経営状況が可視化され、投資計画など経営に活かせるデータを取得することもできます。

 

また、原価や販管費の管理が徹底化されることで、生産量や販売計画だけでなく確定申告にも使えるデータがすぐに入手できる点も特長です。

4.圃場管理システムのメリット

圃場管理システムを導入することで、以下のようなメリットが得られるでしょう。

4.1管理を一元化できる

圃場管理システムのメリットとして最初に挙げられるものが、なんといってもデータ管理を一元化できる点です。

 

通常は管理する圃場の数が増えることで、扱うデータ量が増える点と、入力する担当者が複数になることから、データの粒度や更新率に差が出る点が課題となります。しかし、圃場管理システムであればデータの一元管理が可能になるため、データ入力の抜け漏れや粒度の変化を抑制できるようになるでしょう。

 

また、過去データの検索や閲覧も簡単に行えるようになるため、圃場管理がスムーズに行える点がメリットです。さらに、アカウント連携によってメンバー間で圃場のデータを共有できるようになるため、情報格差がなくなるだけでなく、臨機応変なフォローアップなどにも活かせるようになるでしょう。

4.2場所を問わずモニタリングできる

地図情報とのデータ連携やカメラ・センサーなどを活用することで、遠隔地から圃場のモニタリングが可能になります。そのため、実際に圃場に行かなくても、作物や作業状況の把握、メンバー間の引き継ぎなどが行えるため便利です。

 

また、専門家などにアドバイスを求める際にも、圃場の状況をリアルタイムに見てもらえるため、適切な施策が早く打てる点もメリットだといえるでしょう。インターネット環境とシステムが入ったデバイスさえあれば、いつでもどこでも圃場の状況が把握できて、メンバー間の情報共有が行えますので、指示出しや申し送り事項の共有などもスムーズに行え、生産性の向上につながります。

4.3細かなデータ分析ができる

手書きで入力したデータの場合、後から集約して分析に役立てようとすると、作業が煩雑になるだけでなく、大きな工数が必要になります。特に、ノートや台帳に記入している場合は、それを目視で確認してExcelなどに再入力する必要があり、作業が二度手間になるだけでなく、ヒューマンエラーが発生するリスクもあるでしょう。

 

しかし、圃場管理システムであれば情報の入力や更新がスムーズに行え、データ集計作業も簡単に行えます。

例えば、予定していた収量に対してどれだけの達成率だったか分析することで、次期の生産計画の効率化につなげることが可能です。また、作業内容やメンバー、日にちや天気の状態といったさまざまなデータをクロス集計することで、作業の効率化につなげられる点も圃場管理システムの大きなメリットといえるでしょう。

 

さらに、紙でデータ管理を行っている場合は、物理的な量が膨大になることや過去データの参照は困難ですが、圃場管理システムであれば検索や閲覧が素早くおこなえます。

5. まとめ

これまでアナログな作業が中心だと思われていた農作業ですが、現在ではITを活用して作業を効率化して、生産性を上げる活動を行うことがマストになっています。我が国では今後も労働人口の減少に歯止めがかからない状況のため、圃場管理システムなどを有効活用して農業のIT化を推進して生産性を上げることが、すべての農家に求められるでしょう。

 

最後におすすめの圃場管理システムとして「みどりクラウド」の紹介をします。

5.1みどりクラウド

みどりクラウドはITの導入により、圃場環境や作業を計測、記録してデータ化や作業負担の軽減、生産効率向上を支援するとともに、農作業の可視化による軽々の蓄積・ノウハウ共有を実現します。

 

みどりクラウドの主な機能は、以下の通りです。

 

・アップロードされたデータを蓄積

・データを集計・分析

・気象データも集計

・異常を検知し警報を送信

など

 

みどりクラウドでは「みどりモニタ」というアプリを活用することで、スマホやガラケー、パソコン上で環境データを確認できます。また、グラフ表示や警報機能、データ共有といった環境データを活用するための機能も利用可能です。

 

圃場の環境を自動的に計測・記録し、そのデータを遠隔地からいつでも確認できる圃場モニタリングシステムといえます。全国の農家の意見をもとに、必要な機能に絞り込むことで高いコストパフォーマンスを実現しており、誰でも簡単に農業のIT化ができる点が特長です。

 

さらに、「みどりボックス」と呼ばれるセンサーボックスを活用することで、圃場環境を自動で計測し、2分おきにデータをクラウドに送信してくれます。

 

なお、みどりボックスで計測できるデータは、温度、湿度・飽差、日射量、土壌水分、CO₂濃度、土壌EC、pH、水位、風速・風向で、これらをリアルタイムに観測することで設備の動作状況や天候の急激な変化、不審な侵入を遠隔地から確認可能です。また、カメラで作物の状況を撮影してアップできますので、目視で確認することもできます。

 

さらに、最高・最低といった統計情報の表示はもちろん、クラウド上にデータが蓄積されるため、万が一みどりボックスが故障した場合でも安心です。

 

圃場の状態を可視する圃場管理システムはたくさんありますが、環境制御が難しい点がこれまで大きな課題となっていました。また、可視化の際にも、温度管理と湿度管理自体は簡単に行えましたが、水分量や土中窒素濃度などのセンシングに課題があり、生産性の向上が困難でした。

 

しかし、みどりクラウドであれば、農家が抱えるこれらの課題を解決し、作業の効率化と収量の増加につなげることができるでしょう。

 

株式会社INDUSTRIAL-Xでは、代表の八子が高知県IoP(Internet of Plants)プロジェクト(施設園芸農業のデジタル化プロジェクト)に2019年よりスーパーバイザーとして参画し2020年からはIoP推進機構理事として参画しており、農業IoP領域に関する幅広い知見を蓄積しております。圃場の環境や生育環境の見える化をはじめ農業IoTソリューション導入を支援している実績があります。導入にあたっては、当社でサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。


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