フォークリフトの管理・可視化による安全性向上と業務効率化について



フォークリフトは、製造業を中心にさまざまな業種で人に代わって荷物を運ぶ荷役運搬機械として利用されています。倉庫などで荷役作業をする際に手軽に使える便利な機械ですが、フォークリフトに関連する労働災害は後を絶ちません。

多くの企業では、KYT(Kiken Yochi Training、危険予知訓練)活動に取り組むなど、事故防止のための取り組みを実施しています。しかし、繁忙期における乱暴な運転操作や注意力不足などが原因で、荷物の破損や労働災害リスクは依然として高い状況にあります。

 

労災リスクを減少させる方法の一つは、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)技術を導入することです。フォークリフト本体にカメラやセンサーを設置して稼働状況を可視化して安全性を向上させれば、従業員の生命や荷物、そして企業のブランドイメージを守ることが可能です。

 

本記事では、物流業や製造業などにおいてフォークリフトを稼働する際に発生する業務課題を解説し、衝突事故や物損事故の防止策としてフォークリフト稼働管理システムをご紹介します。

1.フォークリフト作業は労災リスクが大きい

倉庫や工場などで大活躍のフォークリフト。さまざまな荷物を移動する際にキビキビと小回り可能な動作で利用される頻度が高い機械ですが、労働災害が発生するリスクが高い点に注意する必要があります。荷役運搬機械による労働災害の内、フォークリフトが占める割合は70%に達しています。

 

自動車と異なり、フォークリフトは公道を高速で走行しないため「あまり事故が発生しないのではないか」というイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。

確かに、私有地内(倉庫や工場などの中)で荷物を移動するために使われる機械なので自動車のような「路上交通事故」が発生することはありませんが、ここ10年程度の統計によると、2,000件前後の労災事故が発生し、30名前後がフォークリフトに関連した労働災害事故で死亡しています。

交通事故件数に比べると小さい数字ですが、従業員の生命が失われることや、会社の信頼・信用・ブランドイメージが失墜することを考えると、決して無視できるものではありません。少しでもリスクを下げるために、安全対策を講じるべきです。

1.1フォークリフトによる労働災害発生の推移

公益社団法人建設荷役車両安全技術協会の災害統計によると、2009年から2018年までの10年間におけるフォークリフトに関連した労災死亡事故発生件数は、下表のように推移しています。

 

年度

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

労災死亡事故発生件数

29

29

33

32

24

27

24

28

30

26

参考:公益社団法人建設荷役車両安全技術協会「災害統計(死亡災害発生状況)」

 

なお、死亡に至らない労災事故の年間発生件数については、ここ10年程度、2,000件前後を推移しています。このようにフォークリフトは労災事故発生件数が多い機械なので、取り扱う際には細心の注意を払わなければなりません。

2.フォークリフト作業・管理における課題

フォークリフトで作業を実施する際や、フォークリフトを管理する際には「物損事故の原因が不明」「高所の安全性が低い」「大型リフトに死角がある」「稼働状況を把握できない」といった課題が発生します。それぞれについて、詳しく説明していきます。

2.1物損事故の原因が不明

人身事故が発生した際には、徹底的に事故原因を究明し、再発防止策を講じることになるでしょう。しかし、物損事故では人身事故に比べて詳しい分析作業が行われないケースが多いのが現場の実態と言われています。

簡単な書類の作成にとどまったり、件数や損害額の集計しか実施されなかったりして、詳細を把握できないことも多いのではないでしょうか。

 

ちなみに、損害保険会社から支払われた保険金の総額は、人身事故に対する支払額合計よりも物損事故に対する支払額合計の方が多くなっています。フォークリフトに関連する事故においても、人身事故の数倍もの件数の物損事故が発生していることが予想されます。

 

なお「物損事故ならば、発生しても問題ない」ということにはなりません。高い品質を維持し、取引先・顧客からの信用を失わないためにも、可能な限り物損事故を減らす努力をすべきです。そのためには事故原因の分析が不可欠です。

しかし、自動車と異なり、フォークリフトにはドライブレコーダーが設置されていないケースが多いため、原因を究明できないままとなり「不明」と処理されがちです。また、職場の状況次第では「1人1台」ではなく、複数の作業者が運転することがあるため、責任の所在が曖昧になりやすいという問題もあります。

2.2高所の安全性が低い

フォークリフト作業では「高積み倉庫で荷積み・荷降ろしをする際の安全性が低い」という点に留意しなければなりません。

 

低い位置であれば爪の水平や差し込む場所を確認することは比較的容易ですが、高所における荷役作業では爪を高い位置に引き上げなければならないため、目視で確認する難易度が高くなります。その結果、水平位置を把握できなくなったり、差し込み長さを誤認したりして物損事故に繋がることがあります。

ラックの上段に部材を収納したり取り出したりする際に、爪で部材を引っかけて落下させ、落下位置にいる作業員に当たってしまうこともあるので、そうした理由から高所の安全性が低く危険です。

2.3大型リフトに死角がある

フォークリフトは、公道に比べて見通しの悪い倉庫の中などで利用されることが多く、前方の視野が荷物によって遮られることがあります。加えて大型のフォークリフトの場合、広範囲に死角があるため、より事故が発生しやすくなる点に注意が必要です。

 

狭い庫内で複数のフォークリフトが所狭しと走り回っている現場では常に接触の棄権にさらされています。従業員に対して指導・研修を実施し「常に死角があることを意識しながら操作する」という意識を持つように促しましょう。

2.4稼働状況を把握できない

物流倉庫や工場には不特定多数が出入りします。また、1つのフォークリフトを複数の人物が交代しながら使うこともあるでしょう。そのため「いつ、誰が、どのフォークリフトを運転したか」を正確に把握しきれない状況に陥ることがあります。

 

なお「倉庫全体、工場全体で何台の車両があるか」については把握していても、個々の車両がどのくらい稼働しているのかまでは把握できていないケースが多いのではないでしょうか。稼働率を把握しておかなければ、余分な車両を他部署に回すといった対応が困難です。

3.フォークリフト稼動管理システムで効率化!

フォークリフトに関連する事故が発生するリスクを低減し、作業を効率化するためには「フォークリフト稼働管理システム」の導入がおすすめです。以下、フォークリフト稼働管理システムの概要や機能・特長について説明していきます。

3.1概要

フォークリフト稼働管理システムとは、IoT技術でフォークリフトの稼働状態を遠隔で監視・管理できるようにする仕組みです。

フォークリフト本体に設置したIoT機器(センサーやカメラ)が危険を探知することにより、事故を未然に防止します。また、動画などのデータを収集するため、作業の効率化にも役立ちます。

3.2機能・特長

フォークリフト稼働管理システムには「専用ICカードによる管理」「運転データの記録」「危険の検知と警告」「映像の撮影・保管」といった機能が備わっています。

 

カードを持っていない人物が操作することを防止し、危険な運転を検知した際にブザーで警告を発すると同時に映像記録をクラウド上にアップロードすることで労災事故を未然に防げます。

また、自動的に各車両の稼働率が記録されるため、現場にとって適正な台数を把握できます。フォークリフトが余り気味になっている場合は、他の部署に回すことで資産を有効に活用できるようになるでしょう。

さらに、日報をオペレーター自身が手書きで作らなくても、システムが自動的に作成してくれるので業務効率化を実現できます。

4.フォークリフト稼動管理システムのメリット

フォークリフト稼働管理システムのメリットは「作業状況をデータ化・見える化」「作業員の安全意識向上」「事務作業時間の削減」の3つです。それぞれについて、説明していきます。

4.1作業状況をデータ化・見える化

物流倉庫や工場では、さまざまな業者が出入りすることもあり、目視でチェックしているだけでは管理しきれないことがあります。

フォークリフト稼働管理システムを利用すると「いつ、誰が、どのフォークリフトを使用して、そのような運転をしていたか」というデータが自動的に取得されます。

 

また、カメラによって映像記録が保存されるため、作業状況を可視化できます。社内教育・研修で安全運転を呼び掛ける際には、文字やイラストだけではなく、映像を見せる方が分かりやすくなるでしょう。

4.2作業員の安全意識向上

フォークリフト稼働管理システムを導入すれば、カメラが運転状況を映像記録として残したり、危険な運転をした際にブザーなどで警告したりするため、作業員の安全運転に対する意識向上に寄与します。

 

記録するデータは映像だけではありません。フォークリフトの平均・最高速度、衝撃の種類などをグラフにし、視覚的に把握可能にすることで、運転者に注意を喚起できます。

また、専用ICカードによってオペレーターを認識し「いつ、誰が、どのフォークリフトを運転したか」を自動的に記録できるので、スピードを出しすぎるなど、運転の仕方が荒い作業者を特定して注意することも容易です。

 

なお、注意・警告というネガティブな方向だけではなく、安全運転を心掛けている作業者を表彰すれば職場全体のモチベーションが高まるでしょう。

4.3事務作業時間の削減

フォークリフト稼働管理システム導入のメリットは、安全性が向上するだけではありません。事務作業時間削減や業務効率化も実現できます。

 

物流倉庫や工場によっては、24時間稼働し続けているケースもあります。フォークリフト稼働管理システムを導入すれば、事務作業に専従する人員が土日や夜間にいなくても、クラウド上に記録を自動保存できます。

また、稼働率を簡単かつ正確に把握できるようになるので、余分な車両を他部署に回したりリースを解約したりすることも可能です。

5.まとめ

フォークリフトは、倉庫や工場で荷物を運ぶ際に便利な機械です。しかし、労災事故の発生件数が多いので、従業員の生命を守り会社が損害を受けないようにするためにも、十分に安全対策を講じなければなりません。

 

フォークリフトの運用においては、物損事故の原因解明が困難だったり、高所作業での安全性が低かったり、大型のフォークリフトの場合には大きな死角があったり、「1人1台」の利用ではないケースが多いために稼働状況を把握できなかったりすることが課題です。

 

これらの課題を解決するために、フォークリフト稼働管理システムを導入してみてはいかがでしょうか。フォークリフト稼働管理システムを使えば、作業状況の可視化、安全意識の向上、事務作業時間の削減といったメリットを享受できます。

5.1FORKERS(フォーカーズ)

おすすめのフォークリフト稼働管理システムは、三井情報株式会社が提供する「FORKERS(フォーカーズ)」です。FORKERSでは、ネットワーク回線としてLTEを使用しており、お使いのフォークリフトに車載機とカメラを設置するだけでスムーズに利用を開始できます。

 

FORKERS専用のRFIDカードを所持していない人物が運転しようとするとブザーが15回まで鳴り続けて周囲に知らせたり、オペレーターが危険な運転をするとブザーが鳴って注意を喚起したりするため、労災事故リスクを低減できます。なお、カメラで映像が録画されるため、万が一人身事故や物損事故が発生した際にも、後から詳しく検証することも可能です。

 

また、自動的に記録がクラウド上に保存されるため、稼働率の低い車両を簡単に発見できます。現場の適正台数を把握し、余っているフォークリフトを別の部署に回せば、会社の資産を有効活用できるでしょう。

さらに、オペレーターの稼働時間や乗車回数などが記録された日報や週報、月報を自動作成してくれるため、各自が手書きで作成する必要がなくなり、事務作業を効率化できる点も魅力といえるでしょう。

 

株式会社INDUSTRIAL-Xでは、物流倉庫などの稼働アセットの可視化を実現するIoTソリューションの導入から運用までを多数支援しています。フォークリフト作業の安全性向上や業務効率化を実現したい場合は、FORKERSの導入を検討してみてはいかがでしょうか。導入にあたっては、当社でサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。


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